(”T”ってナニ??と言われるであろうことは承知の上ですが諸事情によりこのような表記で進めさせていただきます。)




「”T”との出会い」

はじめて釣ったのはある岸壁でヘチ際をイソメ餌で探っていたときでした。

2月の日中のことで幼稚園サイズのカワハギが餌を突つくばかりで何も釣れず惰性でヘチ際を歩いていたら急に重くなり「?」
と上げてみたら頭のサイズがビリヤード球ほどの”T”が付いていたのでした。

見慣れたイイダコとは明らかに違う!赤い!サイズは2〜300gくらいでしたが大興奮でした!

それ以前には投げ釣りでシロギス仕掛けに500g級がくっついてきたことがあったのですがこの時はテトラ際で貼り付かれて
バラし。その時は交通事故的に掛かることがあっても狙って釣れるとも思えず残念でしたがさほど後を引く事もなくすぐに忘
れていました。

しかし、ヘチ釣りで釣ったことで考えが変わりました。遠投して投げ仕掛けでは掛かっても取り込めない、というのが興味が沸
かなかった最大の理由でしたが足元で釣れるのなら話は別、早速”T”釣りについて調べました。

次の釣行のとき、テンヤを準備してちゃんと狙ってみたら、なんと釣れちゃいました!
これで大ハマリwww

ちょうど釣り物の少ない3月だったこともありその次の釣行ではメインターゲットに昇格!なんとこの日は5杯もゲット!
しばらくは夢中になり四六時中”T”のことを考えていましたww

これまでの私の最大は4kg! こいつはまさにモンスター級の風格でした!




「”T”釣りの醍醐味」

釣趣に乏しい、と言われることが多い”T”釣りですが私は結構面白いと思っています。
魚のように引かないためにそのように言われるのでしょうが魚にはない面白さがありますよ。
最近はエギで狙う釣り方が流行っているようですが私はとてもやる気になれません。
あれで取れるのは運が良くて1kgが限界だと思います。
”T”を狙うなら自転車や電子ジャーを釣り上げられるだけのパワーがあるタックル でなければダメです。


”T”釣りの醍醐味を解説しますw
(例によって師匠なしの完全独学自己流ですのでどこまで信じるかは自己判断にてお願いします)


1、貼り付かれたらほぼ負け

まず”T”の居そうなところをテンヤで小突きながら探り歩くのですがうまく”T”が乗ってきた時に「貼り付かせない」というゲーム性
があります。残念ながら貼り付かれてしまった場合は私の経験上9割方負けです。

よく言われますが”T”の貼り付く力はホンットに凄いです!私の”T”タックルは船用のイカ竿(負荷240号と書いてあります)に小型
の両軸リール、ラインはテトロンとかいう深海用の20号で人力では切ろうとしても切れないような代物です。貼り付かれた場合は
このタックルパワーに任せて引っ張るのですがただ単にパワー勝負を挑むとテンヤのスイベルが壊れるか”T”の身が切れて終了
となります。

なので最初の「乗ったとき」が肝心でここで貼り付かれずに底から剥がせるかどうか?が勝負の分かれ目になってきます。
と、偉そうに書いてますが私自身”T”が乗ったケースの50%は貼り付かれて終了しています…w
最近は「乗り」に気付けるようにテンヤの錘だけを底に付けて本体は浮いた状態でテンションを感じながら小突くようにしています
がこれがどうして言うほど簡単ではないです。

<2013年11月追記>

最近思ったのですが私のアワセは少し間違っていたかもしれません。

”T"については前アタリを感知できた経験は2度しかなくて
「トントン小突いてきたテンヤがムニュっと動かなくなったらすかさずアワセる!」
というようにやってきたのですが”T"の釣り方について書かれたブログなどを見ると
「アタリがあったらチョイチョイテンヤを動かして餌が逃げようとする動作を演じ、完全に乗ってからアワセる」
と書かれていてyoutubeで動画を見ていても確かにそのようなやり方をしている方が多いのです。

”T"が触っているのにモタモタしていたら貼りつかれて獲れなくなる、と思い込んでいましたがどうも違うようです。
私の場合貼りつかれるケースが非常に多いのももしかしたらこの辺に原因があるかもしれません…。
要修行です!




2、剥がしたら躊躇せず一気に抜き上げ!

首尾よく底から引き剥がすことに成功したらあとは何も考えずに一気に抜き上げるだけです!
これは書くのは簡単ですがいざその場面になると慌ててしまって失敗しやすいポイントです。

とにかく少しでも違和感、重さを感じたら渾身のチカラで引っこ抜くこと!これに尽きます!
空振りではない手応えを感じたら根掛かり本命ゴミの1/3抽選です!

そしてテンヤに重さが乗っているのに底から離れたなら…おめでとうございます!!後はゴミ”T”のどちらかです!

書いてて興奮してきましたww
この2度の抽選に当たれば本命GETです!
例えて言うなら一発台の玉の行く末を願いを込めて見つめるような…
ここがこの釣りの最大の醍醐味です!!

首尾よく底から獲物を吊り上げたらあとはひたすら巻き上げて陸へ揚げます。
水面に赤い姿が見えたら…あとはドル箱を用意するだけ!o(^▽^)o

さあ、これであとは取り込みなのですが初心者はここで失敗しやすいので慎重に行きましょう。

私の釣り場は水深が3m程度なので「リールで巻き上げる」、というより「腰だめにしたロッドを振り上げる」ようにして文字通り一気に
抜き上げるようにしています。釣られた”T”は足を広げて上がってきますので2kgを超える獲物になると水中に吊ったままリールを巻
き上げるのはかなり大変です。特に水面から出す際の抵抗は一きわ大きく(表面張力?)なるので要注意です。

タモで掬え、という説もありますが私はタモは使いません。水面で止めてモタつくとその隙に逃げられる確率が高いからです。実際、
初めて2kg級が掛かった時に重さでリールのハンドルが巻けず水面でオタオタしている隙に逃げられた経験があります。これは涙ぐむ
ほど悔しかったですよ(ToT) この時からリールで巻き上げるのではなく腰だめから一気にごぼう抜く!というやり方に変えました。
(ちなみにこの時逃がした2kg級は数時間後に再挑戦し釣り上げることができました)


3、運悪く貼り付かれてしまった時の対処法

小突いていたテンヤが不意に動かなくなり根掛かり本命ゴミの3択状態になったら、まずは少しずつテンションを掛けていきます。
相手が本命だった場合はここで高確率で引き返してくるのを感じますのでこれが来たら
”T”確定!です。

しかしここからが問題です。大当たりが確定したとは言えこの段階では即出玉ゲットには繋がらないのです。そうです、ボーヌス放出の
抽選に当たらなければならないのです。

ここからの勝負をどう運ぶか?には諸説ありますが私はこの状態になったら「相手が動いたらわかるくらいのテンションを掛けなが
ら待つ」
が正解だと思います。この答えに行き着くまでにはかなり試行錯誤と失敗を繰り返しました。


□失敗その1「がっつりテンションを掛け続けてガチンコ勝負」

最初はなんとか引き剥がそうとこの方法でやっていました。これで剥がれることも希にあるのですがほとんどの場合身切れかテンヤが壊
れて終了します。


□失敗その2「完全にテンションフリーで放置」

次にこの方法を試しました。結論から言うとこれは1より悪いです。”T”はとても器用なので自由にさせると刺さった針から足を抜いてしまい
ます。もっと悪いとその上餌のカニやゴムのカニを盗って逃走します。最悪です。



上のような経験を経て「相手が動いたらわかるくらいのテンションを掛けながら待つ」が正解だと確信するに至ったのですがこのやり方
でも今まで獲れたのは3度だけです。根比べに入ると1時間以上の耐久戦はザラで集中力が途切れてくるとつい強くテンション掛け過ぎたり
緩めすぎたりしてしまうんですよねぇ。特にハッキリと「引き返し」が感じられず”T”だと確信しきれない時に失敗します。「もしかしてコレ単なる
根掛かりなんじゃないの??」と思い始めるともう止まりません。「引き返し」を感じて確信を得たくてつい強くテンションを掛け過ぎる、という
過ちを何度繰り返したかしれません。




4、貼り付きか?根掛りか?

テンヤが動かなくなり本命か根掛りか?テンションを掛けて様子を見ても引き返しの反応がない…普通に考えれば根掛かりなのでなんとか
外す努力をする、となるのですがこの状態の時にしばしば「イヤ、たまたま動かないだけで実は”T”が貼り付いているのでは??」 という妄想
に取り付かれます。

錘が岩に挟まった場合は「ガツガツ」といった感触がありますし針が何かに引っかかったなら少し動くけど取れない感触になります。しかしこれ
が何か柔らかい物にガッチリ押さえこまれているような感触でビタ1ミリとも動かない、となると「もしかして…?」と思ってしまいますね。
実際この状況になることはよくあって数十分格闘した挙句突然「ふっ」っと外れて戻ってくるということが今まで何度もありました。やはり本命が
テンヤを押さえ込んでいたのだがこちらがあまり引くので放してしまった!?、真相は確かめることはできませんがあながち有り得ない話ではないと
思います。



「”T”の餌・時合・調理」


5、裏返して締める/脱走に注意

”T”を締める方法はいろいろあるようですが私は「裏返し」でやっています。「裏返し」というのは”T”の頭の後頭部の隙間から手を突っ込んで頭
を「裏返し」にして肝をちぎり取ってしまう、という方法です。なにやら凄い感じがしますがこの方法はネットで調べて実践しています。

裏返すとぐったりして動かなくなる、と言うことだったのですが実際やってみると裏返すどころか肝を取られてもしばらくは生きていますので要注意
です。裏返して肝を取って袋に入れてクーラーへしまった”T”が数分後にクーラーを開けたら天板に貼り付いていた、という経験があります((((;゚Д゚))))

そんな感じなのでバケツやスカリにキープはせずに獲ったらすぐに締めてクーラーへしまったほうがいいと思います。締め方は「裏返し」より良い方法
があるかもしれませんが現場で肝の処理までしてしまうと後が楽なので私はこの方法でやっています。




6、ヌメリ取り/茹で上げ

”T”は食味も魅力的なのですが美味しくいただくためには少々下準備が必要です。
塩で洗う、というのが一般的でそのほか洗濯機を使うという方法もあるようですが私は片栗粉を使っています。

”T”を釣ってきたらまず水で砂などをきれいに落とします。きれいになったら一旦水気を切りボウルなどに入れて片栗粉をかけます。
片栗粉をこねるようにくちゃくちゃと揉みます。揉むと泡が出てくるのでいいかな、ってとこで流水で洗います。こうするとヌメリが取れてすべすべになります。

最初は塩を使いましたが片栗粉の方がヌメリの落ちがいいのと塩は丁寧に洗い流さないと身がしょっぱくなってしまうので片栗粉に落ち着きました。

ヌメリが取れてすべすべになったらたっぷりのお湯で茹でます。1kgあたり1分とかいろいろ言われますが私は適当にやってます。あまり固茹でより芯が生っぽい
方が好みなので茹で時間は短めです。




7、釣れる時間帯/時期

まだデータ数が少ないので何とも言えないのですが私の経験上では場合昼夜、季節、潮周りなど関係なく釣れているように感じます。
10月には産卵のため沖へ出て行ってしまい釣れなくなる、と言われますが10月末に良い型が2杯釣れたこともあり私はあまり実感が
ありません。

特にこだわりなく適当な時間に挑戦して釣れる時は釣れる、ダメな時はダメ、という感じで楽しんでいますが強いて言えば
冬の澄潮の干潮は反応がよくないような気がします。


8、居れば釣れる?

”T”は食欲旺盛でその場に居れば高確率でテンヤに乗ってくる、と言われますがどうでしょうか?私の経験から言うと真実でもあるがその限りではないとも
言える、といった感想です。

確かに食欲・好奇心が旺盛で居れば何かしらの反応がある、と感じることも多々あるのですが「念入りに探ったのに1周目には反応がなく帰りの2周目で釣れた!」
という経験が一度や二度ではないのです。また、一度バラした”T”を数時間あけて再び狙いキャッチしたこともあります。

普通の根魚釣りだと一通り探ったポイントを再トレースしても期待は低いものですが”T”に関しては2周目、3周目も1周目と同じ期待値 と考えています。

これは”T”が気分屋だ、ということもあるんでしょうがもう一つは”T”の獲物の襲い方にも関係あるように思います。youtubeで水中動画を見て「なるほど!」と
思ったのですが興味を持って獲物に近づいてから襲うまでがゆっくりしているんです。ただ襲う瞬間は姿とイメージから想像しにくいほどの俊敏さで行動します。

これをテンヤで水中を探っている時の状況に置き換えて考えるとおそらく釣り師の移動が早すぎるのだと思います。よく牛のようにゆっくりと移動しながら探れ、
と言われまして私も結構ゆっくり探っているつもりですがそれでも多分早く移動しすぎて”T”が獲物を襲うリズムに合っていないことが多いんだと思います。
それがわかってるならもっとゆっくり歩けばいいのでは?と思われるでしょうがあまりに移動を遅くしすぎるよりは探り終えたらまた戻ってきて同じポイントを何度も
トレースする方が自分の釣りのリズムに合うと思っています。この結果2周目、3周目にさっきは反応がなかったポイントで乗ってきた、ということが起きるのでは
ないか?と思います。


9、餌

餌は何がよいか?これも諸説様々ですが私は今のところゴムカニ+カットワタリガニを輪ゴムでテンヤにくくりつけています。最初の頃はゴムカニ+イワシ
でやっていましたが”T”はカニが大好物、というのとカットワタリガニなら年中安く入手可能なのでこれに落ち着きました。イソガニが捕まえられればそいつ
を使うこともありますが中々つかまりません。



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